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ウメサオタダオ展@お台場

昨年の春に大阪のみんぱくで開催されていた「ウメサオタダオ展」が、東京・お台場の日本科学未来館で2月20日まで開催されています。先月のことになりますが、内覧会に伺いました。

知的活動とは何かを論じた「知的生産の技術」はロングセラーを続けています。「発想法」の著者である川喜田二郎氏と梅棹忠夫氏は、中学・高校・大学の山岳部で同級生でもありました。
お二人は登山活動を共にしながら、野外でのフィールドワークを行う方法と得られた情報から新たな視点を発想する方法を切磋琢磨しながら考えていたようです。
その成果が「知的生産の技術」「京大式カード」「こざね」ですが、そこに至るには梅棹氏の卓越した観察眼(生物学を専攻された方らしくとてもスケッチがお上手です)と何でもメモと取る圧倒的なマメさが、こうした方法に至ったのだということを、この展示で実感することができます。

B6サイズの京大式カードにスタンプを押して持って帰れたり(以前みんぱくにお邪魔した際には、梅棹氏が実際に使っていらしたものと同じカードをお土産に頂きました)、

こざね法で使う名刺大のカードを使って実際に発想をしてみることが出来ます。

文房具を持ってフィールド(現場)へ出かけ、違うサイズの紙を使い分けながら発想する。
そうしたスタイルの大先輩である知の巨人の肩に乗って、人類の未来を発想していきたいものです。

開催は2月の20日までです。新橋からゆりかもめに乗って行かれる方は、パナソニック汐留ミュージアムで開催されている「今 和次郎 採集講義 展 – 時代のスケッチ。人のコレクション。-」に立ち寄るのもお薦めです。


ヒキダシを広げる場所*ブックシェアリング

荻窪にある6次元に行ってきました↑。
カフェとギャラリーと古本を扱っている素敵な場所です。

知人の田中千絵さんの展覧会「ヒキダシ ノ カレンダー」と、ヒキダシ展を見に行きました。

田中さんにご紹介いただいた6次元の中村さん、なんとアイデアキャンプの本を読んで、実際にいろいろな場所でアイデア出しをされているとのこと。とても嬉しい出会いでもありました。

6次元にはさまざまなジャンルの古本が置いてあり、本を読むというよりは読み耽るという動詞が似つかわしい場所に思えました。自宅に戻ってウェブサイトを拝見し、おぉっ、と思ったのが「ブックシェアリング」です。
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 本は六次元にかかわる方を中心にセレクトしています。
 お茶を飲みながらご自由にお読みください。
 不要な本で、飲食代を支払うことも可能。
 みんなでシェアしたくなるような古書をお持ちください。

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とありました。

次に6次元に行く時に、あの本棚に納まりそうな本を持っていくとしたらどんな本だろう。そう思って本棚を見てみると、単に本を整理するのとは全く違う感覚が湧き上がってきました。誰かに読んでもらいたい本を選ぶ、それはある種プレゼントを選ぶような感覚でした。
自分の本棚には、最近読んだ本、何度も何度も読み返している本、ずっと読んでいないけど捨てずにいる本、いろいろなものがあります。次に6次元にお邪魔する時にはジャンルだけでなく自分との関わり方も含めて本を選ぶんだろうなー、と思いました。

そしてふと、「アイデアキャンプに出かける相手と本を交換しあう」というのも面白い発想プロセスになりそう、と思い付きました。

いぜん書いたエントリーに「お弁当交換」があります。
誰かと食べ物や本を交換するというのは、その人と嗜好を交換することでもあります。
アイデアは多かれ少なかれ個人の主観が反映されるものです。
食べ物や本を交換した人どうしであれば、あぁこの人の嗜好と思考がこう関係しているんだろう、と想像しやすくなるでしょう。ちょっとした感想を伝え合えば、お互いの考え方や好みの違い/似ている点がすこし分かりそうです。
また、自分が普段は気にかけていない情報を取り入れることができて、思考のヒキダシも広がることでしょう。

古本を眺めながらコーヒーを飲みつつヒキダシ展と色々な方々との会話を楽しんだら、こんなアイデアを思い付くことができました。近いうちに何かのアイデアキャンプでぜひ試してみたいと思います。


アイデアキャンプ in せんだい ミニレポート

先週の11月12日(土)にハーマンミラー エルゴキオスク 仙台にてアイデアキャンプを開催してきました。前日は雨が降っていて肌寒かったのですが、土曜日にはすっかり晴れて、街中へ出るにもとても良い陽気でした。

ファシリテーションはせんだいスクール・オブ・デザイン本江校長といっしょに。「小さなモニュメント」というお題を出しました。忘れたいけど忘れてはいけない記憶を留めるために記憶を環境に預けておく、そんな小さなモニュメント。

今回は特に、街の中で出会った「偶然を楽しむ」ことで、アイデアを出し合いましょう、という話をしました。

4人ずつのグループに分かれて、まずA3の地図を見ながら、なんとなく気になる場所やちょっと行ってみたいと思う場所を、細く小さいポストイットで共有してもらいました。

そして、その場所へ出かけて道すがら気になったものをポストイットに書き出しながら、街を歩いてもらいました。また行った先でも気になったことを話しあえるよう、A2の段ボールボードも持って出かけてもらいました。

戻ってきた後に、メンバーそれぞれが何が気になったかを再度振り返りながら、街中で出会った気になったものを下に、アイデアを出し合ってもらい、グループごとに発表をしてもらいました。

ダイエー*足跡、電気のたこ足*ステッカー、飛行機雲*震源地、地震を耐え抜いたお店の改修跡など、おそらく会社の会議室や大学の教室では出てこなかったようなアイデアが発表されました。

街中を歩きながらお互い気になったことを口にして書き出すことは、自分では些細な事を口にしたと思っても、誰かのアイデアの種になるのはモチロンのこと、実は自分がとても気になっていることの表れだったりするものです。外部を探検しているようでありながら、自分の内部の探検の入口に立っていた、なんてこともあります。

いろいろな視点の発想が出てきて、アイデアそれぞれが興味深かったです。

家具に詳しい方なら、写真に映っている椅子にすぐ目がいくことでしょう。色とりどりのイームズのシェルチェアが並んで、室内もとても楽しい雰囲気の場所でした。カラフルなポストイットを使うのが、とても自然に思えてきます。

最後にアイデアキャンプの感想も聞かせてもらいました。

  • 歩きながら他の人とアイデアにまつわる話ができるのは新鮮
  • アイデアって部屋の机の前でうんうんと唸りながら出すものだと思っていたけど、気持ちの良い場所でリラックスして良いんだって知ることができた
  • ふだんは話すことが無さそうな人達と一緒にアイデアが出せる道具立て+スタイルが楽しかった

といったコメントをもらいました。アイデアキャンプを開いた甲斐がありました、ホントに。

土曜日の仙台の中心街で、A2の段ボールを小脇に抱えてうろちょろするのは、少し気恥ずかしさもあったようですが、チームサイズ文具を持って出かける「小さな探検」だと思えば、違った気分になると思います。

これからも、いろいろな物理的道具と心理的道具をもって、いろいろな場所へ、いろいろな人達と、小さな探検に行きたいと思います。

とても楽しいアイデアキャンプでした、参加していただいた皆さん、ご協力いただいたハーマンミラーの皆さん、本江さん、どうもありがとうございました。


アーキグラムの「アイディア・サーカス」

Ideas Circus by Archigram
Ideas Circus by Archigram

1960年代のロンドンに「アーキグラム」という建築家集団がいました。
彼らは実際に建てられる実作をつくらず、建築にまつわるさまざまなドローイングを雑誌として発行し、紙のメディアによって世界中の建築家に大きな影響を与えました。足のついた巨大な都市である「ウォーキング・シティ」、取り外し可能はユニットで組み立てられた「プラグイン・シティ」などが有名です。
アーキグラム – Wikipedia

彼らの(仮想)プロジェクトの中で、アイデアキャンプに近いアイデアに「アイディア・サーカス」というものがあります。
—– アイディア・サーカス スキーム
セミナー、会議、展覧会、討論会に必要な設備を、5、6台のトラックで運ぶパッケージ。これを既存の建物や設備に連結し、はじめから「サーカス」用であったかのごとく使う。もっとも「サーカス」は完全に自律的である。必要ならば、野原のまんなかでも成立つ。地方の主要施設を巡り、大学にマイクをしかけ、人やテキスト、実験室の映像を手に入れる。これを、場所を変えて繰り返す。小さな街を週末に巡ってもよい。数台の車で地区の女性センターの討論会へ出かけてもよい。「アイディア・サーカス」の中身は、基本的にフィルムとスライド。フィードバックのための設備は重要だ。セミナー、テキスト、映画などの資料化がなされ、保存されなければならない。一定の場所を動かない教育施設は、補充が必要となる。一方、移動式施設は、来てもしばらくしたら、いなくなってしまう。だが、この「アイディア・サーカス」も、包括的な情報ネットワークができるまでの代用品にすぎない。
—– アーキグラム, 鹿島出版会, pp.100-101
こうしたモバイルオフィスのようなアイデアは、オフィス・働き方の小ネタ集とも言える「POST-OFFICE」の中にも描かれています。POST-OFFICEの著者の中にもアーキグラムが大好きなメンバーがいて、今でも様々な時代の建築家に影響を与え続けています。もちろん、僕もそうした影響を受けた一人です。

アイディア・サーカスは、都市を構成するエレメント(広告や映像装置など)を気球や飛行船で運び、旧来的な都市を仮設的に変容させる「インスタント・シティ」の小規模版と言えます。
Instant City by Archigram
Instant City by Archigram

アーキグラムのすべてのプロジェクトに共通する特徴は、「可動的・増殖的」「仮設的」「遊牧民的(もしくはゲリラ?)」であり、それらが実現することによって既存の都市を変容させることです。

さまざまなスケールの装置を都市に挿入して空間の使い方を変えようとする試みは、情報系の研究分野としてモバイル・コンピューティングやユビキタス・コンピューティングといった領域でもさまざまな研究が行われています(この辺が中西の研究分野でもあります)。

アイデアキャンプも近しい特徴を持っていますが、ひとつ違うことは「セルフビルド(自分でつくること)」です。都市やオフィスといった空間につくる人と使う人という関係ではなく、使う人がつくる、つくる人が使う、そういう関係がもっと広まれば良いなと考えています。
この視点からすると、近しいプロジェクトとして「東京ピクニッククラブ」があります。紹介はまた別のエントリーにて。

アーキグラム, アーキグラム, 鹿島出版会
アーキグラム

POST‐OFFICE―ワークスペース改造計画, 岸本 章弘, 中西 泰人, 仲 隆介, 馬場 正尊, みかんぐみ, TOTO出版
POST-OFFICE


ポストイットを組み合わせながらPMI

何人かで出したアイデアをより多くの人にお披露目して、アイデアを絞りながらその中からさらにアイデアを拡げる、というワークショップを某所でやってきました。色々な人の意見を共有したかったので、書籍の中でも紹介しているPMIを行いました。

PMIはアイデアの評価をする時に、「良い plus」or「悪い minus」だけではなく、「興味深い interesting」を加えるという方法です。それらを下にポイントを整理して、アイデアを発展/さらに具体化します。

今回は大人数で行ったので、まずA0の段ボールにA4の紙に描いたアイデアをたくさん貼って、アイデアの紹介をしました。(残念ながらこの写真はお見せできません…)

個々のアイデアを聞くいて自分が思ったこと・感じたことを書き留めてもらいながら、後でまとめてPlus Minus Interestingを書いてもらい、さらに自分のアイデアを思いついた人にはアイデアを付け足してもらう、というかたちで進めました。

書籍の中では画板と一種類のポストイットを使う方法を説明しましたが、今回は名刺よりひとまわり小さいサイズの50mm x 75mmを4色、ミーティングノートと呼ばれる149mm x 200mmのものを使いました。名刺よりひとまわり小さいサイズはA8、ミーティングノートはA5ぐらいの大きさです。

名刺サイズの緑色のものにメモ書きをしてもらっておき、その後に青にPlus、ピンクにMinus、黄にInterestingを書いてもらって、新しいアイデアはミーティングノートに描いてもらいました。

まずはアイデアを一通り説明して、その間はメモを書いてもらいます。その後は、段ボールの前に行ってPlus, Minus, Interestingのポストイットを貼っていってもらいました。
その後に、それぞれのアイデアについてみなさんが書いたPMIを発表してもらいました。新しいアイデアを思いついた人は、さらにそのアイデアの説明も。

PMIの後は自由に発言をしてもらいました。ある方が、同じメンバーで会議を何度かやっているけれど、いつもの5倍ぐらい発言の量があった、とおっしゃってました。5倍ですよ、5倍。
PMIの時に共通の対象についてまず考える時間があったこと、そして1人1人が発言する時間があったことで、今は自分の考えていることを言ってだ丈夫な場なんだと思っていただけたのだと思います。

いつもは会議が終るやすぐにみんな自分の部署へ戻って行かれるそうですが、この日は終った後もしばらくその場で何人の方が立ち話をされていました。

さらにスケッチを会議で描き合うということは普段はないそうですが、何人かの方がスケッチをその場で描いていました。これぞ、道具と環境が変われば、プロセスと結果が変わるという好例だったと思います。

考えやすい+描きやすい+話しやすい場を作ることができた、ということだと思うのですが、アイデアキャンプをやった甲斐があったというものです。

色とサイズで考える過程と結果を共通化することで、後で話す内容を共有化し易くなることがあります。もちろんもっと自由に考えることが大事なフェーズもあるのですが、今回のワークショップのように技法を取り入れることのメリットもあるのです。人数が増えた場合や、お互いが何をどう話せば良いかを共有できていない場合には、効果が高いと思います。

余談ですが、ミーティングノートの大きさのポストイットを持っていくと、「えー、こんなサイズのもの売ってるんですねー」と驚かれることがけっこうあります。文房具店ではほとんど取り扱われることがないからだと思いますが、言葉だけでなく具体的なアイデアを絵や図として描いていくには、A5サイズぐらいでないと難しいものです。

通販ですぐに買うことができますから(ちょっと値段が高いのですが)、気になった方は一度試してみてください。
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