Category Archives: コラム

キャンプ場でアイデアキャンプ

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昨年の秋のことになりますが、磐梯山麓のキャンプ場でアイデアキャンプを行いました。まさに文字通りキャンプ場でのアイデアキャンプです。

今回のキャンプは1泊2日。1日目にアイデアキャンプで発想を行い、2日目はお散歩をしたりカヌーに乗ったりとリラックスした時間を過ごしました。

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このキャンプ場はもともと教育向けに作られていて、テントサイトの代わりに常設のバンガロータイプのテントが設置されています。大人数に料理を出すためのキッチンやダイニングも整備されています。そのため、テントを張ったり、調理のスペースを準備することに時間を取られず、キャンプ場到着後すぐにアイデアキャンプを始めることができました。

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今回のもう一つのポイントは、普段料理人のお仕事をされている方にキャンプシェフをお願いしたことです。通常のキャンプでは、食事の用意などすべて自分たちでやる必要がありますが、今回のアイデアキャンプでは、食事に関してはすべて料理人の方にお任せしました。

これが思いの他成功でした。プロの料理人の方なので、つくるものがいちいち美味しい。家庭でもレストランでもないキャンプ独特の料理に、参加者の方々にも大変満足していただきました。これはまさに、リッラクスすればするほどよいアイデアに恵まれるというアイデアキャンプの目指すところそのものです。料理が美味しいと気持ちが盛り上がり、食事と食事の間のアイデア発想にも張り合いが出ました。

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当日は朝東京駅で待ち合わせをして、新幹線と在来線で移動してお昼すぎにはキャンプ場に到着しました。先に入っていただいていたキャンプシェフの方からさっとウェルカムドリンクが出され、さっそくアイデアキャンプの準備に入ります。

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今回は5、6人のグループで二手に分かれて、1時間半程度のセッションを3回行いました。せっかくのキャンプ場のなので、各回少しずつ場所を変えて、移動しながら発想セッションを行います。最後のセッションは湖畔で行いました。だんだんと日がくれてきてポストイットが見えにくくなるのと、目が慣れるのが追いかけっこするような感覚です。これもオフィス空間では体験することができない身体感覚です。

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日が暮れるとともにセッションは終了。お風呂と食事、そして焚き火でリラックスです。焚き火を囲みながら昼間のアイデアキャンプを思い出しながら感想の交換。さらには、アイデアから組織のビジョン、人生といった深い話が尽きません。

本格的なキャンプ場でのアイデアキャンプの機会はなかなかありませんが、社員旅行的な組織のレクレーションも兼ねて、こうしたアイデアキャンプを企画すると、研修効果半分、レジャー効果半分の一石二鳥の時間が過ごせるかも知れません。


秘密基地の作り方

尾方孝弘さんによる「秘密基地の作り方」を読みました.
幼い頃は川の近くに住んでいて,よく友達と秘密基地を作って遊んだものです.

秘密基地に必要なものとして三つの「間」が挙げられています.
ひとつ目:「空間を見つける」こと
ふたつ目:「時間を見つける」こと
みっつ目:「仲間を見つける」こと

これらの間の見つけ方,秘密基地をつくるための道具などが紹介されています.子供達向けの三つの章の後に,「応用編 大人のつくる秘密基地」という章があります.その冒頭に編集部の方が書かれた文章がぐっと来たので引用します.

秘密基地は子どもが作るものだというのは大きな誤解です。大人になっても、秘密基地を作りたい人はいっぱいいます。社会のシステムに疑問を持ったり、そこからはみ出して怒られたりしても、自分の責任でそれを受け止める勇気のある大人もいる。それがいいことだとか悪いことだとか、決め付けることは誰にもできません。
 大事なのは、自分の内から出てくる衝動に正直でいることと、何がいいことか悪いことかは自分で決めるということ。それから、子どもの頃に感じたワクワク感を忘れずにいることなのではないでしょうか。

小さなプロジェクトやベンチャー企業をスタートする時というのは,秘密基地を作る時と近い感覚なんじゃないか,と思えてきますね.


日経エレクトロニクス 特集「日常をぶち破れ!」

日経エレクトロニクス2012年12月10日号 特集「日常をぶち破れ! 発想の新潮流」でアイデアキャンプを取り上げていただきました.
日経エレクトロニクス2012年12月10日号

アイデアキャンプはその中の「第3部<ひらめきの方法論>まずは会社の殻を脱ぎ捨てる「考え続ける」が道を開く」の中で取り上げていただいています.
普段は技術的な解説記事が並んでいる日経エレクトロニクスにこうした特集が組まれるというのも,時代の変化と共に組織が取り組むべき課題が変わってきているのだということを実感します.

発想力を高める7冊の中の5番目にアイデアキャンプの書籍を紹介していただいていますが,3番目には中西が委員として参加しているニコニコ学会βの書籍「ニコニコ学会βを研究してみた」も紹介していただいています.その本では,委員達がおススメする書籍リストがあるのですが,そこでは西堀栄三郎氏による「石橋を叩けば渡れない」をおススメしました.

発想には野性と(物理的*心理的)探検が必要だと思います.気になった方はぜひ合わせて読んでみてください.


ニューヨーク市長主催のアイデアキャンプ

「アイデアキャンプ」と名付けられたイベントは世界でもいろいろと行われるようになっています.
その主旨もいろいろなのですが,もうすぐ開催されるものとしてニューヨーク市長のブルームバーグ主催のアイデアキャンプがあります.

ブルームバーグさんは,ソロモンブラザーズを経て,経済ニュースのブルームバーグを立ち上げ,いまはニューヨーク市長をされています.

Mayors Challengeというアイデアコンテストを開催し,自治体が直面している課題についてのアイデアを解決するアイデアを募集しました(募集は9月まで).
http://mayorschallenge.bloomberg.org

そして上位の20団体は,ニューヨークで開催される2日間の「アイデア・キャンプ Idea Camp」に参加してブルームバーグ財団が呼んだ各分野の専門家とアイデアを練り上げ,最終的には優勝した市が1つと準優勝の市が4つ選ばれるそうです.
Mayors Challenge: Timeline

優勝者には5,000,000(4億円ぐらい)ドル,準優勝者には1,000,000(8000万円ぐらい)ドルの賞金が出るとのこと.とても沢山の自治体から応募があったようです.

SOLVE IT. SHARE IT.とサイトにはありますが,すばらしい主旨のアイデアキャンプだと思います.

結果が楽しみです.


創造する時代の学び方:d.school@Stanford

先のエントリーでも紹介したスタンフォード大学のd.schoolには、さまざまな学部の学生達が集まっています。d.schoolの一角には学生達の名前と学んでいる専門が書かれた顔写真が貼られています。学生達の専門は機械工学、コンピュータサイエンス、ビジネス、法律、文学まで、本当に幅広いものでした。

d.schoolの特徴として、このプログラムに参加して修了しても卒業に使える単位にはならないこと、d.schoolでデザイン思考を身に付けた後に学生達がまた自分の専門分野に戻って行くこと、があります。

さまざまな領域の分野を横断・越境・協同しながら新しいアイデアを実現していこうとする組織として、MITのメディアラボも有名です。メディアラボは2年や5年といった大学院の研究プロジェクトとしてそうした融合を実現します。それに対して、d.schoolはもう少し短期的・仮設的なプロジェクトだと言えるでしょう。

案内をしてくれたWendyと話をしている内に、d.schoolでそうした有機的な融合を体験した後に自分の専門分野を勉強する意義を捉え直すこと、にも大きな価値があるようにも思いました。

自分の専門知識が実際にどのような場面でどのように役立つのか。自分ひとりでは出来ないことを誰かと一緒に実現するためにはどんな知識を持っている人間を探せば良いのか。そうしたことを知ることは、新しいアイデアをベンチャービジネスや社会企業に結びつける際にとても重要です。

そう考えると、d.schoolもアイデアキャンプも、様々な分野の人々とオープンに話しながら新しいアイデアを発想し実現する練習の場でもあると言えるでしょう。

アイデアキャンプの本の中で「コレクティブな組織」と「コネクティブな組織」という考え方を紹介しました(p.195)。

 僕たちは、役割分担をした個人の活動を組織のアウトプットに統合する活動をコレクティブ(Collective)な活動と呼び、人材育成や戦略形成のように仕事を通じて出会った人々と形成されたネットワークを通じて創発的な相乗効果が生み出されることをコネクティブ(Connective)な活動と呼んでいます。
コレクティブな活動は、
・役割分担を基に分業と調整を行い、各人の努力を組織の成果にまとまるように統合
・組織の形態としてはヒエラルキー型となることが多い
コネクティブな活動は、
・多様な人の多様な視点で新たなアイデアを生み出す
・いつもの役割を離れ、ダイナミックなネットワーク型の組織を作り出す
という特徴があると考えています。

それぞれの学部で専門知識を高める+オープンな場所で多様な視点でアイデアを出し合うスタンフォード大学d.schoolは、まさにコレクティブな活動とコネクティブな活動を行き来するひとつの組織のあり方です。

d.schoolの中で使われている家具や道具、発想の進め方が紹介された「Make Space: How to Set the Stage for Creative Collaboration」がこの1月に出版されました。

どさっと座り込まずに、何か思いついたらさっと立上がってホワイトボードに絵やことばが書けるように作られたハイチェアー、少人数が顔を付き合わせながら話ができる小振りでどこにでも移動できるキャスター付きのハイテーブル、すぐに移動できて仕切りにもなるホワイトボード等々。コネクティブな活動を支えるための環境が意識的に作られています。

もちろんすべての会社や学校の中にこうした場所があればとても素晴らしいと思います。しかし現実としては、権限やお金がないとなかなか難しいものです。

であれば、気持ちの良い場所にでかけて発想のための空間を自分達で作ってしまえば良いと思うのです。

Wendyにはアイデアキャンプの本を一冊進呈したのですが、アイデアキャンプはd.school by「Do It Yourself / Do It With Others」なんだ!と伝えたら、なるほど!と言ってくれました。きっとその意図を共有してもらえたのではないかと思います。