経営の未来+組織の重さ

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沼田幹 組織デザイン

1人で出来ることもあれば、何人かで助け合いながらしか出来ないこともあります。その何人という数が増えてくると、みんながスムースにコミュニケーションがとれるような仕組みが必要となってきます。

そうした仕組みとしては、たまり場的な場所であったり、メーリングリストであったり、人をグループに分けて組織をつくる、など色々な方法があり得ます。

組織のデザインって、何でしょうね。きちんと定義がなされている本がありました。
沼田幹,組織デザイン,日本経済新聞社
● p. 17
「組織を設計する」という作業は、分業を設計し、人々の活動が時間的・空間的に調整されたものになるような工夫を施すことであり、そのようにして出来上がった分業と調整手段のパターンが組織デザインである。

そしてこうした設計には多様な調整手段を組み合わせていくのだ、とされています。

組織の代表的なパターンはツリー型の組織だと思います。ほとんどの会社はそうなっていますね。
王様や殿様がいた時代を思い浮かべてもツリー型の組織ですから、古来から永々と続いている組織デザインかと思いきや、ある時期にイノベーションがあった+これからイノベーションをしなければならない、と言っている人がいます。それがゲイリー・ハメルという人です。

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ゲイリー・ハメル 経営の未来 日本経済新聞出版社

「20世紀初頭のF.W.テイラーの科学的管理法とM.ウェーバーの官僚組織のコンセプトは、それ以前には存在しなかった大企業のマネジメントを可能にしたという意味で大きなイノベーションだった。」、そして「以降は官僚組織を漸進的に進化させるだけで、ローカルミニマムに落ち入っている。必ずしも現在の環境に適した解であるとは限らない。ジャンプした新しい方法=経営管理のイノベーションが求められている。」というのです。

イノベーションという言葉はやや流行語に近くなっていますが、製品やサービスにイノベーション起す以外にも、経営管理のイノベーションの大切さを説きつつ、
1. 規模の大小を問わず、どの企業でも、戦略変更のペースを劇的に加速させること。
2. イノベーションをすべての社員の日常的な業務にすること。
3. 社員を奮起させて各自の最高の力を発揮させる魅力的な労働環境を築くこと。
が『経営の未来』だとしています。W.L.ゴア(ゴアテックスの会社です)やグーグルやIBMを事例としつつ、組織を設計する新しい原理を見つけなければいけない、とします。

そうした原理の要素としては、周縁=正の逸脱から思考を持ち帰る:アイデアの民主主義を築く、人間の想像力を拡大する、資源をダイナミックに配分する、集合知を集約する、古いメンタルモデルの足かせを最小限にする、すべての人に参加するチャンスを与える、といったことが挙げられています。
インターネットの特徴を挙げて、「これは二十一世紀の経営管理システムの詳細な設計仕様ではないとしても、大きくかけ離れたものではないと私は思う。」と述べています。

まぁ理想はそうなんだろうけど、日本じゃぁムリだよ…ウチじゃぁムリだよ…なんてつぶやきも聞こえてきそうです。

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沼田幹 組織の重さ

そんな課題感を持って?、日本企業の強みを生かしつつもこれからの企業はどうあるべきか、といった研究もなされています。
沼上幹 他,組織の〈重さ〉―日本的企業組織の再点検,日本経済新聞出版社

ちょっと要約をすると、本書では、ミドルマネジャーのタテ・ヨコ・ナナメに密接な相互作用(グループ・ダイナミクス)を通じて実現される「創発戦略」という日本企業の強みが、最近は機能不全に陥っているという問題意識のもと、その機能不全を引き起こす組織構造・組織特性を明らかにしようとしています。
創発戦略の創出と実行を妨げる相互作用プロセス・組織内調整の難しさを『組織の重さ』と定義し、それを促進する要因を抽出しています。検証方法としては、18社の107事業単位を対象に大規模質問票調査を実施し、統計分析をしています。
その分析から得られた結論は、以下の4点です。
第一に、軽い組織は有機的組織(補足:ボトムアップ/グループ・ダイナミクス)と機械的組織(補足:トップダウン/ビュロクラティック・ダイナミクス)の共存が見られること。
第二に、軽い組織には、タスク志向かつ人間関係志向のリーダーがいること。
第三に、上記リーダー行動は組織構造に依存する面もあるが、組織構造にかかわらず望ましいリーダー行動をとれること。
第四に、組織リーダーとメンバーとの認識ギャップを埋めるには、本社スタッフの役割が重要であること。
といった内容です。
つまり、これまでの組織の在り方に経営の未来で語られているような組織を混ぜていきましょう、ということなんだと思います。

アイデアキャンプに出かけて、試行錯誤できるボトムアップで軽い組織を作りつつ、外で出したアイデアをいつもの場所へ戻って実行に移す。
そんな人達がもっと日本中に増えると良いのではないか。そんなことを我々は思っています。


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