創造する時代の学び方:d.school@Stanford

先のエントリーでも紹介したスタンフォード大学のd.schoolには、さまざまな学部の学生達が集まっています。d.schoolの一角には学生達の名前と学んでいる専門が書かれた顔写真が貼られています。学生達の専門は機械工学、コンピュータサイエンス、ビジネス、法律、文学まで、本当に幅広いものでした。

d.schoolの特徴として、このプログラムに参加して修了しても卒業に使える単位にはならないこと、d.schoolでデザイン思考を身に付けた後に学生達がまた自分の専門分野に戻って行くこと、があります。

さまざまな領域の分野を横断・越境・協同しながら新しいアイデアを実現していこうとする組織として、MITのメディアラボも有名です。メディアラボは2年や5年といった大学院の研究プロジェクトとしてそうした融合を実現します。それに対して、d.schoolはもう少し短期的・仮設的なプロジェクトだと言えるでしょう。

案内をしてくれたWendyと話をしている内に、d.schoolでそうした有機的な融合を体験した後に自分の専門分野を勉強する意義を捉え直すこと、にも大きな価値があるようにも思いました。

自分の専門知識が実際にどのような場面でどのように役立つのか。自分ひとりでは出来ないことを誰かと一緒に実現するためにはどんな知識を持っている人間を探せば良いのか。そうしたことを知ることは、新しいアイデアをベンチャービジネスや社会企業に結びつける際にとても重要です。

そう考えると、d.schoolもアイデアキャンプも、様々な分野の人々とオープンに話しながら新しいアイデアを発想し実現する練習の場でもあると言えるでしょう。

アイデアキャンプの本の中で「コレクティブな組織」と「コネクティブな組織」という考え方を紹介しました(p.195)。

 僕たちは、役割分担をした個人の活動を組織のアウトプットに統合する活動をコレクティブ(Collective)な活動と呼び、人材育成や戦略形成のように仕事を通じて出会った人々と形成されたネットワークを通じて創発的な相乗効果が生み出されることをコネクティブ(Connective)な活動と呼んでいます。
コレクティブな活動は、
・役割分担を基に分業と調整を行い、各人の努力を組織の成果にまとまるように統合
・組織の形態としてはヒエラルキー型となることが多い
コネクティブな活動は、
・多様な人の多様な視点で新たなアイデアを生み出す
・いつもの役割を離れ、ダイナミックなネットワーク型の組織を作り出す
という特徴があると考えています。

それぞれの学部で専門知識を高める+オープンな場所で多様な視点でアイデアを出し合うスタンフォード大学d.schoolは、まさにコレクティブな活動とコネクティブな活動を行き来するひとつの組織のあり方です。

d.schoolの中で使われている家具や道具、発想の進め方が紹介された「Make Space: How to Set the Stage for Creative Collaboration」がこの1月に出版されました。

どさっと座り込まずに、何か思いついたらさっと立上がってホワイトボードに絵やことばが書けるように作られたハイチェアー、少人数が顔を付き合わせながら話ができる小振りでどこにでも移動できるキャスター付きのハイテーブル、すぐに移動できて仕切りにもなるホワイトボード等々。コネクティブな活動を支えるための環境が意識的に作られています。

もちろんすべての会社や学校の中にこうした場所があればとても素晴らしいと思います。しかし現実としては、権限やお金がないとなかなか難しいものです。

であれば、気持ちの良い場所にでかけて発想のための空間を自分達で作ってしまえば良いと思うのです。

Wendyにはアイデアキャンプの本を一冊進呈したのですが、アイデアキャンプはd.school by「Do It Yourself / Do It With Others」なんだ!と伝えたら、なるほど!と言ってくれました。きっとその意図を共有してもらえたのではないかと思います。


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