野外科学と発想法

川喜田二郎, 発想法, 中公新書

川喜田二郎, 発想法, 中公新書(1967). 古典の名著ですね。

アイデアを出す有名な方法に「KJ法」というものがあります。川喜田二郎さんという方が提唱された方法なので、イニシャルをとって(K)川喜田(J)二郎法と名付けられました。カードに情報の断片をたくさん書いて、それをグルーピングして徐々にまとめあげていく発想法です。

しかし、KJ法は単なる発想法のひとつである、というのは狭い見方のようなのです。

その著書である発想法のまえがきには、
「その発想法は、もともと野外科学の必要性から始まった。ことに、野外で観察した複雑多様なデータを、「データに自体に語らしめつつ、いかにして啓発的にまとめたらよいか」という課題から始まっている。かような課題は、科学的方法論としては、今日までまともに解決されたことはなかったのである。」
とあります。

川喜田氏は、科学を書斎科学・実験科学・野外科学の3つに大別して、野外科学における実際の観察と経験を重要視しました。そして、その観察と経験を記録してまとめてゆくために、メモノート・清書ノート・パンチカードに整理した清書ノートをつくり、そのカードになった資料を分類し統合していきながら仮説を発想するという、野外科学の方法論の体系化を試みたのです。問題提起と内部探検を行って外部探検をし、現場で観察を行ったあとに、仮説を打ち立てる。さらに野外で実験を行い、観察して検証するまでを”ひと仕事”と呼びました。
地理学の出身で文化人類学の研究を行った川喜田氏は、地域や民族をありのままの姿でどう研究すれば良いのかを体系化しようとしたのですね。

中でも、仮説を発想するにはどうしたら良いのか。KJ法は資料の統合法と発想法として、ひと仕事の中の一部分に焦点があてられたものなのです。
そこではノートの取り方・カードへの整理・分類・要約、そして「相互に比べることのできない異質な一組のデータから、いかにして意味のある結合を発見することができるか。また新しい発想をうちあげることができるか」(p. 54)に意識が向けられていきます。

野外科学とアイデアキャンプはどういう関係にあるか??新しい結合を発見するチャンスのような気がします。同じく著書 川喜田二郎, ひろばの創造―移動大学の実験, 中公新書(1977) がヒントではないか、と思っているところです。

「KJ法」の方が「野外科学」よりも有名かと思いますが、川喜田氏が野外科学という言葉で表した考えかたって、とても大事なことだと思います。

川喜田二郎, 続・発想法, 中公新書

川喜田二郎, 続・発想法, 中公新書(1970) 発想法の続編ですね。
まえがきでは「今日の文明は、動脈硬化した管理社会の方向に、刻一刻転落しかかっている。またその中で人間らしさを損なわれた人びとによる、混乱と内戦が襲いかかってくるだろう。こういった危機をのりこえ、創造的な参加社会への血路を切り拓くために、少なくともKJ法的なものが必要だ。」とあります。アツいです。


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