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ポストイットとアイデア発想

ポストイットといえば、いまやアイデア発想に欠かせないツールの代表格となっています。
ポストイットはアメリカの3M(スリーエム)社の商品名で、一般的には付箋紙といったりするようです。ただし、ポストイットといえば、貼ったり剥がしたりできる、微妙な粘着力をもったメモ用紙のことを指すわけで、付箋という日本語がその概念を適切に言い当てているかどうかはやや疑問です。
ポストイットの歴史は古いようで新しい1960年代から始まります。3Mの研究者が接着剤の開発中に偶然粘着力の弱い接着剤を発見したことがきっかけのようです。その研究成果はしばらく日の目を見ませんでしたが、ひょんなことから別の研究者の目にとまり、1970年代の後半に製品化され、1980年くらいには全米で売られるようになりました。
こうして見てみるとまだ30年に満たないくらいの歴史なので、いつからカウントするかによりますがパソコンの歴史とだいたい同じくらいでしょうか。そういう意味では、パソコンがテクノロジー型のアイデア発想ツールの横綱で、ポストイットがアナログ型のもう一方の横綱といっても過言ではないかもしれません。

そんなポストイットですが、単に糊がついてる便利なメモ用紙程度の位置づけであればアイデア発想ツールとしてはもっと小さくまとまっていたのではないかと思います。どのような用途でポストイットが使われているのが一般的なのかははっきりとわかりませんが、アイデア発想の現場では、アイデアの元となる要素をポストイットに書きとめ、それを自由に並べ替えたりすることで、要素と要素の新しい関係を発見するという方法が一般的です。
その際に重要なのは、概念が要素化されるということと、要素の関係性を自由に検討できるという二つのポイントです。
一つ目の概念が要素化されるという点に関しては、たまたま(?)普及したポストイットのサイズがそれほど大きなもの(たとえばB5サイズとか、A5サイズとか)ではなかったことが大きな貢献となっているのではないでしょうか。サイズがそれほど大きくないおかげで、1枚のポストイットに書ける文字や図の分量は限られており、その結果概念を適切な分量に要約したものを書くようになったのではないかと思います。
二つ目の要素の関係性を自由に検討できるというのは、まさに粘着度が弱い糊によって貼ったり剥がしたりできることが最大限に貢献します。これによって模造紙やボードの上に仮置きした概念の要素間の関係性を、必要に応じて場所を移動することで自由に検討することができるようになりました。
その結果、アイデア発想の現場では、とにかく思いついた概念の断片のサマリーを1枚のポストイットに書き出し、それをできるだけ多く出した上で、それらの関係性を検討するという一連の流れが成立しているのです。そのため、アイデア発想の現場ではポストイットを大量に使うようになり、少なからずともポストイットの売り上げに貢献しているのではとふと思ったりします。
